脂っぽい髪に悩んだことのある女性なら、その煩わしさや不便さがどれほどストレスになるかよくご存じでしょう。しかし、時にはそれが単なる悩み以上になることも。脂っぽい頭皮は刺激やフケ、他の皮膚トラブルの原因にもなります。余分な皮脂を取り除くには、まずは根本的な原因を知ることが大切です。髪が脂っぽくなる原因や、過剰な皮脂分泌を減らす9つの方法を学びましょう。
朝起きてすでに遅刻しそうだと気付く。そして鏡を見たら、また髪を洗う必要があると分かる。実は、朝は毎日髪を洗い、時には一日に二回洗うことも。でも、どんなシャンプーを使っても、ふんわり軽やかな髪型は数時間しかもたない。もしこれがあなたの話なら、きっと脂っぽい頭皮の持ち主です。
誰の髪も時間が経つと多少は脂っぽくなります。肌と同様に、頭皮にも小さな皮脂腺があり、それぞれは毛包とつながっていて、皮脂と呼ばれる脂質の複合体を分泌します。この脂っぽく蝋のような物質は頭皮を守り潤し、フケや感染症、皮膚の刺激を防ぎ、髪にはツヤを与えます。しかし皮脂の過剰分泌は、多くのメリットを台無しにします。皮脂腺が余分な皮脂を分泌すると、毛根に蓄積されて毛穴が詰まり、古くなったフケが溜まりやすくなります。こうして、「脂っぽい見た目の髪」と「フケ」ができるのです!
1日もたずに頭皮や髪がギトギトするなら、脂っぽい髪質と思って良いでしょう。さらに以下のような症状も見られます:
一番大きな要因は「遺伝」です。皮脂腺の大きさや、ホルモンによる皮脂腺への働きには生まれつきの個人差があります。ニキビ、乾燥肌、脂っぽい髪はすべて皮脂の分泌に関連していて、家族で体質が似ていることも。その理由は、細い髪の人は皮脂で覆われやすく、ボリュームが足りずペタンコな見た目になりやすいからです。遺伝的な要因は変えられませんが、過剰な皮脂分泌を抑える方法で、数日おきの洗髪にすることはできます。
髪が汚れたら洗いますよね?それも正しいですが、洗いすぎると頭皮が乾燥し、その反動でさらなる皮脂を分泌してしまうことも。もし毎日洗っているなら、2日に1回、または3日に1回に減らしてみてください。
洗い流さないコンディショナーやオイル系スプレー、自分の髪質に合わないシャンプーは、皮脂分泌を悪化させて脂っぽさの原因に。重いヘアケア商品は髪をペタンコにし、洗ってもべたつき・くすみが残りがちです。
洗いたての軽い髪はつい触りたくなります。でも、触れば触るほど汚れやすくなります。きれいな手でも指先には自然な油分があり、それが髪にうつってさらに脂っぽくしてしまうのです。指で頭皮の皮脂も髪全体に広がりやすくなります。
見逃しがちですが、硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルは、肌を乾燥・刺激しやすく、髪に残留物を残し、もろくします。頭皮は補おうとして更に皮脂を作ることも。また、硬水だと石けんやシャンプーの泡立ちが悪くなり、つい余分に使いがちに。塩素は水の消毒のためによく加えられますが、頭皮のバランスを乱しやすくなります。
健康な髪と頭皮にはバランスのよい食事が必須です。ジャンクフードや加工脂肪、精製糖質が多いと炎症が起きやすくなり、皮脂腺の働きが乱れることも。ミネラルやビタミンが足りないと、髪も頭皮も元気をなくします。
ホルモンは髪と皮脂分泌に大きな影響を与えます。月経前や妊娠中、アンドロゲンが増える時期に、髪が脂っぽくなりやすいと感じる女性も多いです。アンドロゲン(男性ホルモン)は皮脂腺に働きかけ、皮脂分泌を増やします。甲状腺機能低下症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)も皮脂の分泌量を増やすことがあります。
一部の薬も皮脂分泌に影響します。ホルモン避妊薬や女性ホルモン補充療法(HRT)は体内のエストロゲン量を増やし、脂っぽい肌やニキビ、脂っぽい髪を引き起こす可能性があります。コルチコステロイド、リチウム、抗てんかん薬、バルビツール酸系薬、アンドロゲン性ステロイド、DHEA、臭素またはヨウ素を含む医薬品も皮脂分泌の増加と関係しています。飲んでいる薬の成分を確認してみてください。
原因が分かったところで、1日以上髪をきれいに保つための9つのコツをご紹介します。
今使っているヘア製品の成分をご存知ですか?くせ毛や乾燥髪向けシャンプーや、ツヤ感を売りにした製品は、細くて柔らかい髪には重すぎてべたつきます。脂っぽい髪には、優しい成分のシャンプーを選び、パラベンや硫酸塩、シリコンは避けましょう。一時的にツヤが出ても、肌を刺激しやすく、皮脂分泌を増やしてしまい、髪がパサついたり抜け毛の原因になる場合もあります。洗い流さないトリートメントや重いヘアマスクは控え、コンディショナーは毛先だけにつけて、洗い流しをしっかりと。
クレンジングシャンプーや頭皮スクラブを取り入れることもおすすめです。クレンジングシャンプーは界面活性剤が多めで、通常のシャンプーより皮脂や製品の残留物をしっかり落としますが、使いすぎは髪を傷めます。月1〜2回が基本ですが、脂っぽい髪の方や硬水使用の方はもう少し頻繁でもOK。頭皮スクラブは血行を促進し、健康な髪の発育やフケ・湿疹・乾癬・脂漏性皮膚炎対策、また製品や皮脂残りの除去に役立ちます。適切に使えば頭皮環境をリフレッシュし、脂っぽい髪の管理に役立ちます。
髪のために一番おすすめなのは「できるだけ触らない」こと。時々のブラッシングは絡まり防止や皮脂を適度に広げる役割ですが、やりすぎは皮脂や汚れを髪全体に広げ、抜け毛の原因にも。特に細い髪はブラシの油分や汚れでもペタンコになりやすいです。手がかからない髪型やヘアスタイルを工夫するのがおすすめ。
自宅の水が硬水かどうかは、水道会社に問い合わせるか、硬水テストキット購入、または簡単な「泡立ちテスト」でも調べられます。透明なペットボトルに1/3ほど水を入れ、食器用洗剤を数滴加えて振ってみましょう。泡立ちが早い=軟水、泡立ちが少ない場合は泡が出るまで洗剤を追加。泡立ちに多くの洗剤が必要なら、それだけ水が硬い証拠です。
各種浄水器は、飲料水や入浴水から特定の不純物や汚染物を除去するために設計されています。一般的な軟水器はカルシウム・マグネシウムイオンをナトリウム・カリウムイオンと交換。その他にも塩素・重金属・細菌・汚染物質の除去に優れたフィルターも。万能なフィルターは存在せず、用途ごとや髪・肌の悩みに応じてリサーチが必要です。洗髪や洗顔に使う水の質を改善すれば、肌と髪の健康を守れます。
健康な髪の成長には、十分なビタミン・ミネラル・タンパク質が不可欠。特にビタミンB群(特にB7:ビオチン)、ビタミンE、D、C、ミネラルの亜鉛・鉄・セレンは、髪の健康や皮脂コントロールに重要な役割を果たしています。
正しいケアをしても夕方には脂っぽくなる場合、ホルモンの影響かもしれません。エストロゲンの過剰分泌は脂性肌・ニキビ・肌トラブルにつながりますし、女性のアンドロゲンも皮脂増加・抜け毛の原因になることがあります。また、慢性的にコルチゾールが高い・甲状腺ホルモンのバランスが乱れることも、脂っぽい髪や肌の一因に。確かなことを知るには、必ず医師にホルモン検査を相談しましょう。
簡単ではないですが、週あたりの洗髪回数を減らすことで皮脂腺が自己調整しやすくなります。もしあまりにも脂っぽく感じたら洗ってもOK。でも根元のみが油っぽく、大事な予定がなければ、頭皮を1日休ませましょう。肌が潤いバランス良く保てれば、皮脂の過剰分泌も落ち着きます。
オイルマスクが脂っぽい髪の予防に役立つと信じる女性は多いです。オイルマスクは皮脂分泌を抑えるだけでなく、髪や肌へ栄養・潤いを与え健康的な髪を育てます。ほんの数滴のオイルを頭皮に塗り、指先でマッサージして30~60分置き、丁寧に洗い流しましょう。アルガンオイル・オリーブオイル・ホホバオイル・アボカドオイル・グレープシードオイル等は頭皮の保湿・皮脂コントロールや枝毛・ダメージ予防にも◎。
1晩で枕カバーが意外と汚れるのに驚くかも。柔軟剤や洗剤、メイク・スキンケア・肌の皮脂などが布地に移り、夜寝ている間に髪や肌に戻ってきます。とくに髪を下ろして寝る場合は要注意。三つ編みやゆるくまとめ、シルクやサテンのナイトキャップを使えば、脂っぽさや切れ毛の予防に効果的です。
脂っぽい髪の救世主「ドライシャンプー」。便利ですが、過度な使用は逆効果。多くのドライシャンプーは呼吸器や頭皮に有害な成分を含み、残留物が肌荒れやかぶれ・抜け毛の理由にも。使うなら自然成分が主のものか、自作がおすすめ。コーンスターチ・重曹・アロールートパウダー・ベビーパウダー・珪藻土・ココアパウダー・チャコール(後者二つは黒髪向き)で皮脂吸収できます。
時に、脂っぽい頭皮や抜け毛、細くてもろい髪はシャンプーを変えても解決しない深刻な症状かもしれません。女性の体は常に新陳代謝・回復・自己調整を繰り返しています。その中で異変のサインを出している場合もあります。
脂漏性皮膚炎は頭皮や皮脂腺が多い部位に生じやすい皮膚の炎症です。皮膚が炎症を起こし、ベタつきやフケが見られ、皮膚に常在する真菌(酵母)の過剰反応も原因とされます。自然治癒することもありますが、医療用シャンプーや塗り薬でコントロールが可能です。
乾癬は慢性的な自己免疫疾患です。ストレス・寒さ・感染などが引き金となり、肌の炎症やかゆみ・ピリピリ感、フケのような鱗屑(りんせつ)が、腰・膝・ひじ・頭皮などに現れます。完治は難しいものの、薬や塗り薬、光線療法で症状をコントロールできます。
PCOSは女性の10人に1人が抱える病気で、卵巣に多数の嚢胞ができる・アンドロゲン値の上昇・顔・胸・背中の多毛化などが主要症状です。アンドロゲンが高いと皮脂腺も活発になり、ニキビや脂っぽい髪、抜け毛の原因になります。もしアンドロゲン過剰の兆候があり、生理不順や不妊があれば、早めに医師へ。治療は薬や生活習慣の改善が有効です。
脂っぽい髪は煩わしいものですが、それだけがあなたの全てではありません。どんな女性にもケアが必要な特徴や体質はありますし、脂性頭皮もそのひとつ。頭皮の状態と向き合い、自分に合った方法でケアを見直し、皮脂分泌を調整して健康的で美しい髪を目指しましょう。
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