生理はとてもやっかいです。健康や気分、心の状態にも影響し、その上、対処するのが本当に面倒ですよね。生理痛からニキビ、膨満感まで、ホルモンは私たちの休憩を許してくれません。この記事では、まだあまり語られていないけれどとても一般的な現象である「生理中のうんち」について紹介します。そう、出血や痛み、気分の浮き沈みだけでなく、トイレに何度もこもる羽目になるのは、生理戦争の締めくくりなのです。
生理前や生理中には、さまざまな不快でちょっと変わった症状を経験することが多いでしょう。最もよくある生理の悩みは腹痛、腰痛、膨満感、頭痛、感情の高ぶり、そして疲労です。しかし、多くの女性が便通の変化も経験しています。
腹痛や出血だけでなく、うんちが柔らかくなったり臭いが強くなったり、トイレに行く回数自体が増えることも。心配はご無用。これも完全に普通の現象です。なぜそうなるのか、一緒に見ていきましょう。
生理=出血と思われがちですが、実際はそれが一番楽な症状かもしれません。そして「生理中のうんち」は、最悪の症状の一つでもあります。なぜ生理の時期になると腸が暴れ出すのか、その理由を知るために、ホルモンの変化について振り返りましょう。
典型的な月経周期は25日〜35日で、人によって、また同じ人でも周期によって長さが異なります。各周期において、月経のある女性は脳・卵巣・子宮が連携したホルモン変化を経験します。
周期の始まり(生理初日からカウント)では、エストロゲン・テストステロン・プロゲステロンといった性ホルモンは低い状態です。数日間の出血の後、脳の下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、卵胞期が始まります。FSHは卵巣にある十数個以上の卵胞を刺激し、中の未熟な卵子を発育させます。
一般的には、一つの卵胞がほかよりも早く成長し、優勢卵胞となって健康な卵子が排卵に向けて成熟します。(複数の卵胞が同時に成熟した場合、双子や三つ子になることもあります。)他の卵胞は体に吸収されていきます。
優勢卵胞はエストラジオールを分泌し、妊娠準備として子宮内膜を厚くします。中盤になると下垂体を刺激して黄体形成ホルモン(LH)が急増し、これが排卵を引き起こします。
排卵の12〜24時間中、成熟した卵子が最寄りの卵管に排出され、子宮へと向かい受精の可能性を持ちます。
排卵後には破れた卵胞が「黄体」と呼ばれる一時的な細胞塊に変化し、エストロゲンの分泌を続けつつ、プロゲステロンも産出し妊娠成立をサポートします。
これが最後の「黄体期」。卵子が受精し妊娠が成立した場合、黄体は約12週間プロゲステロン分泌を継続し、以降は胎盤が役割を引き継ぎます。
受精しなかった場合は黄体が約10日で退化し、エストロゲンとプロゲステロンが再び低下、子宮内膜も維持されなくなり、体外へ「生理」として排出されます。
生理前半にホルモン量が下がっているのに、なぜ便通が増えたり下痢気味になるのでしょう?
性ホルモンは生殖だけでなく、実は身体のさまざまなシステムに関わっています。ホルモンの変動によって、エネルギー・睡眠・社交意欲・性欲・身体の健康など、多くが影響を受けます。消化管の動きもその一つです。
たとえばエストロゲンは消化管の平滑筋をリラックスさせる作用を持っていて、排卵前後のエストロゲン高値の時期は便通が安定しやすくなります。一方プロゲステロンには水分保持作用があり、便秘や膨満感の原因となります。
この現象にはもう一つ、「プロスタグランジン」という脂質化合物群が重要な役割を果たします。プロスタグランジンもホルモンのような働きをする伝達物質ですが、内分泌腺で作られて血流をめぐるホルモンと違い、必要な時に細胞内で作られます。
プロスタグランジンには多種多様な機能があり、血管拡張、筋肉の収縮、痛みの伝達や軽減、炎症、凝固など、少なくとも9つのタイプがいろいろなプロセスを左右しています。
生理になると、プロスタグランジンは子宮の収縮を促し、内膜を剥がし出血につながります。これが生理痛の原因でもあります。
同時にプロスタグランジンは腸の平滑筋も刺激するため、排便回数が増えたり、うんちが柔らかくなりやすくなるのです(これがまさに「生理うんち」現象)。
生理中のうんちに多い症状は次の通りです:
もちろん体質によって症状はさまざま。全く気にならない方もいれば、むしろ生理初日には便秘になる方もいます。
ホルモンの自然な変化以外にも、食生活や体調、ストレスなどが便通に影響を与えます。
生理前は無性に甘いものやしょっぱいものが食べたくなりますよね。最近の研究では、こうした食欲の変化は黄体期にインスリン感受性が下がることが関連していると分かっています。この時期、体は食事から得られるエネルギーが普段より少なくなりがち。だから空腹感や糖質欲求が強まります。
ただし、糖質・脂質たっぷりの食事は腸や体の健康にはおすすめできません。特に排卵後にプロゲステロンが優位になる時期は、便秘やむくみを招きやすくなります。
過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、食物不耐性などの持病がある場合、生理中に症状が悪化しやすくなります。月経と腸の疾患の直接的な関係はまだはっきりしませんが、食生活の変化やコルチゾール、プロスタグランジンの増減も関与していることが多いようです。
多くの女性は生理前になるとストレスを感じやすくなります。黄体期にイライラや不安が強くなる場合、多くの研究が示すようにコルチゾール(ストレスホルモン)の上昇が原因です。
友だちとの言い合い、支払いの心配、子どもの機嫌に振り回される…こういったストレスが引き金になって、体内でホルモンのカクテルを放出します。ストレスが高い時、胃や小腸の動きは遅くなり、大腸の動きが速くなります。「お腹が張る」感覚がそのままストレス性の下痢となることも。
本当に困った現象ですが、対策はいくつかあります。腸の症状や不快感を和らげるための方法をご紹介します。
たっぷり水分補給することで腸の動きをスムーズに保ち、便秘予防に役立ちます。生理初日に下痢症状がある場合、知らず知らずのうちに水分をたくさん失うので、意識して補給量を増やしましょう。
果物、野菜、全粒穀物、豆類など繊維質の多い食材を適度に摂ると、お通じが整い便秘にもいいです。ただし、膨満感や下痢がひどい日は繊維質をやや控え、消化の良い高タンパク質食品を中心に。繊維の摂りすぎは生理うんちを悪化させます。
カフェイン・アルコール両方とも脱水を促し、腸の刺激にもなるため、下痢や膨満感を強くします。特に生理中は、カフェイン・アルコールへの感受性も高まるので、不安感や動悸も悪化しやすくなります。
定期的な身体活動は消化を刺激し膨満感や便秘を和らげてくれます。さらに適度な運動は全身の血流やエンドルフィンを増やし、プロスタグランジンの生成を減らして痛みも和らげます。散歩やヨガなど軽い運動でも効果があります。
下痢止めや鎮痛剤(NSAIDs)はかなり力になります。イブプロフェンはプロスタグランジンの生成をおさえて痛みや生理うんちを緩和。1錠で2つの悩みに効きます。
電気ブランケットや湯たんぽ、温かいお風呂・シャワーで、プロスタグランジンによる子宮収縮を和らげることができます。これにより痛みやトイレ回数減に効果的。万能ではありませんが、かなり楽にはなります。
月経日記や生理管理アプリを使って便通やその他の生理症状を記録すれば、パターンが分かりやすくなります。自分の症状が生理に関連しているかどうか理解するのに役立つでしょう。
WomanLogは生理日やホルモン変動、何百もの関連症状を記録できる便利なアプリです。
数か月記録を続けることで、アプリが傾向を見つけ出し、便通の変化が生理周期によるものか、別の要因か判断しやすくなります。記録を続けるほどパターンが明確になります。
生理の始めにトイレに数分多くこもる程度であれば問題ありませんが、毎月激しい下痢や痛みを伴う膨満感、ひどい便秘が続く場合は他の疾患が隠れていることもあります。症状が重く、1〜3日以上続く場合は、消化器系の異常がないか医師に相談してください。
生理は身体的にも精神的にもとても負担になります。でも、自分の体が変に感じても、それは普通のこと。同じような毎月の悩みを抱えている人は大勢いるので心配いりません。「生理うんち」を正しく理解し、少しでも快適に過ごせますように。
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