アセクシュアリティ：デートと恋愛をどう乗り越えるか
デートや恋愛は誰にとっても簡単ではありません。アセクシュアルの方にとってパートナー探しはさらに難しいことが多いです。アセクシュアルとは、他者に対して性的欲求がほとんどまたは全くない人のこと。性交渉やその他の性的行為を控える傾向があります。一方のパートナーが性的な親密さに興味がなければ、性的欲求があるパートナーが感情的な親密さを保つのは難しいこともあります。
アセクシュアリティは、他者に対してほとんど、もしくは全く性的な魅力を感じない人々を指す総称です。アセクシュアルとして自認する人は、基本的に性的欲求がないか、ごく限られた機会だけ感じます。こうした人たちは、よりプラトニックな関係を育む傾向があります。自身がアセクシュアル、または短縮して「エース」として生涯を通して、もしくは一定期間名乗ることもあります。
アセクシュアリティはスペクトラム
人間の性は、人生を通してダイナミックに変化します。これはアセクシュアルの方にも当てはまります。アセクシュアリティのスペクトラム上には、全く性的欲求がない方から、少しだけ性交渉に興味を持ったり、パートナーを喜ばせるためだけに行為に及ぶ方までさまざまです。主な違いは、アセクシュアルは性的欲求がかなり低いか全くなく、アロセクシュアル（他者に性的欲求を持つ人）は「誰かと性交渉したい」「他者と性的な空想を抱く」のが一般的だという点です。
とはいえ、この状態は固定的なものではありません。アセクシュアルの方がいつかアロセクシュアルや「グレイセクシュアル」（ごく限られた状況でのみ性的魅力を感じる）として自認することもあれば、しないこともあります。
アセクシュアルの方もさまざまな惹かれ方をします：
- ロマンティックアトラクション：他者に恋をしたり、愛情を感じたりしますが、必ずしも性的欲求を伴うわけではありません。
- プラトニックアトラクション：友人と過ごす時間や、感情的な親密さを楽しみます。
- 美的アトラクション：他者の外見や自己表現に魅了される感覚です。
アセクシュアルの方も、性的欲求のあるなしにかかわらず、満足のいくデートや深いつながりを持つことができます。セックス自体に抵抗がないけど情熱は感じない方もいれば、一切行為をしない、マスターベーションもしない、セックスのことを考えただけで嫌悪感を抱く方もいます。
アセクシュアルだとデートしないの？
アセクシュアルの方も、恋をしたり、恋愛や交際、子どもを持つこと、幸せで充実した人生を送ることができます。ただし、クィアの方にとってデートはよりハードルが高いと感じることも。アセクシュアルにとってデートは繊細な話題になりがちです。なぜなら現代社会は性的欲求を基盤にしているからです。アロセクシュアルの人が「なぜセックスに興味がないのにデートしたいの？」と疑問に思うこともあります。しかし、私たちはみんな誰かとつながりたいと自然に思うもの。つながりは、何も性的なものでなくてよいのです。
デートは難しいもの。新しい人と出会えば「この人は何に動機づけられてる？」「一緒にいてお互い心地良い？」と見極めるのに時間がかかります。それぞれにパートナーと打ち解けるまでに必要な条件も違います。アセクシュアルの方も、誰かとの連帯や深い感情的な結びつきを恋愛で享受したいと考えます。中にはパートナーとセックスを試したいという方もいます。デートをしたい人は、お互い色々な前提で接しますが、アセクシュアルの方は自分がカミングアウトするタイミングや相手には特に慎重になる傾向があります。
アセクシュアルとしてデートを乗り越える方法
自分の境界線を知る。 まず、自分のアセクシュアリティが自分にとって何を意味するのか、どんな関係性を求めているのか明確にしましょう。プラトニックな関係？ロマンティックな関係？相手とどう親密さを分かち合いたい？情緒的な繋がりだけ求める？キスやハグが幸せ？時々だけセックスもOK？
まずは自分に正直になること。自分の気持ちを大切にすれば、他人があなたの境界線を越えるリスクは減ります。
アセクシュアル同士でのデートも視野に。 性的欲求の度合いが似ている相手を選ぶことで、向かい合う価値観が近くなりやすくなります。セックスや恋愛に関する考えを理解し合っていれば、互いの親密さのニーズについてもより率直に話しやすいでしょう。
とはいえ、恋愛で大切なのは性だけではありません。アセクシュアルとアロセクシュアル双方が様々な理由で惹かれ合い、満たされる関係を築くことも十分可能です。お互いの意見や気持ち、親密さに対する感覚を理解し合い、尊重する努力は大事です。
オンラインでの出会いも活用を。 デートの形はデジタル化が進み、マッチアプリは「最後の手段」とは思われなくなりました。アセクシュアル特化のアプリはまだ少ないですが、RedditやFacebookグループでの出会いも広がっています。人気のマッチアプリ（OkCupidなど）ではアセクシュアルであることをプロフィールに記載可能。HERのようにクィア女性やノンバイナリー、アセクシュアルも利用できるアプリも人気です。
ネットにはデメリットもありますが、自分をのびのび表現でき、会う前に相手の価値観を少し知ることができます。
自分の意図を正直に。 新たな相手と知り合うときは、自分なりのタイミングでアセクシュアルであることを伝えましょう。ただし、関係が進むにつれ、将来への考え方もなるべくオープンに。今後、相手と性的な親密さを築くつもりがあるのか、逆に相手がセックスや身体的な関係に何を期待しているかも理解しておきましょう。
もしパートナーがアセクシュアルの場合
相手を尊重しましょう。 自分がアセクシュアルでない場合、パートナーは一生セックスをしないかもしれません。その現実を正しく理解し合うこと。互いに正直であり、尊重し、無理な期待や変化を強要しないことが大切です。
将来について考え合うこと。 交際が始まると最初は高揚感で大事な問題が見過ごされがちです。交際スタート時は結婚や子ども、高齢への不安などシリアスなテーマから目を逸らしがち。でもアセクシュアルパートナーと将来を築きたいなら、こうした問題から目を背けないで。
たとえば、もし子どもが欲しいならアセクシュアルのパートナーでその夢を叶えられる？どの程度の身体的な親密さが欲しい？情緒的なつながりだけで満足？最初は一緒にいるだけで幸せでも、これらに向き合うのが遅くなるほど後が大変です。
セックスがなくても充実した関係は築けます。 性的欲求は自然なもの。自分が求めるなら正直に伝えましょう。その一方で、多くの方がセックスなしでも満たされた親密な関係を楽しんでいます。親密さはさまざまな形で育まれます。感情的な結びつきやロマンス、友情、信頼関係――特に年齢を重ねるほど、これらは身体的な魅力より大切かもしれません。パートナーと本音で話し合い、自分自身の気持ちにも耳を傾けましょう。どれほど相手を愛していても、自分を偽ることは、時が経つほど心にしこりを残します。
恋愛は多面的で、妥協も必要になることが多いもの。セックスなしでも健全な関係性を作り出し、お互いがしっかり満たされるクリエイティブな方法を見つけているカップルも多数。一方で、アセクシュアルとしてのデートや恋愛が困難に感じることもあるかもしれません。でも他者と深くつながり、充実した結びつきを育む方法は数多く存在します。
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